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2005年06月01日
Neuron 6/2
The Hippocampal-VTA Loop: Controlling the Entry of Information into Long-Term Memory
Lisman JE と Grace AA という、ちょっと変わった組み合わせのReview。中脳の腹側被蓋野(VTA)のドーパミンニューロンは海馬CA1野に投射しているらしいのだが、これが、学習に関わるのかどうかを議論したReview。海馬とVTAがloopを形成していて、これが新規性の学習に機能的に働いている、というのが彼らの主張。あとでじっくり読んでみます。
The Neuroanatomy of Remote Memory
Squireのグループ。タイトルだけ見ると、Squireはいったい何をやったんだ、とびっくりしてしまいますが、 いつもの、側頭葉に傷害を持つ患者の記憶課題の実験でした。
実験は、側頭葉に障害を持つ患者と、側頭葉+別の皮質に傷害を持つ患者で、Autobiographic memoryの課題を行った。Autobiographic memoryは、傷害を受ける前の人生の、前1/3に起きたことを聞かれる記憶課題。側頭葉障害患者ではこの課題はできるが、側頭葉+別の皮質に障害を持つ患者では、この課題ができなかった、という結論。すなわち、長期記憶(Remote memory)は側頭葉だけに蓄えられるのではなく、皮質に広く蓄えられている可能性がある、という主張。
彼らの前報(Manns et al., neuron 2002 a,b)では、比較的短期(24hrとか)のpair-associate記憶課題は、海馬+側頭葉としている。また、Recall課題も、傷害の15年ぐらい前までのretrogradeの記憶は海馬+側頭葉としている。なので、今回用いたAutobiographic memoryは、単にエピソード記憶というだけでなく、Remote性がすごく強い課題である、ということを主張したいのだと思う。(しかし、彼らはなぜか自分たちの前報をひいていない。)
簡単にまとめると、人間では、比較的最近(ここ数年)のエピソード記憶は海馬+側頭葉に蓄えられ、すごい昔のエピソード記憶(remote memory)は、別の皮質に蓄えられると言うことかな。(Manns 2002 bのrecall課題をエピソード記憶と解釈すればの話しですが。)
投稿者 sfujisawa : 2005年06月01日 17:05
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