2006年06月16日

オペ

最近ブログをさぼり気味ですが、なんとかぼちぼちと仕事をやっております。

今週、慢性実験のための電極埋め込み手術を行った。32 chennel と 64 channel のシリコンプローブを埋め込む。ひさびさの手術で手間取ってしまって、手術に 13 時間もかかってしまった。ラットもさすがにヘロヘロになって、完全回復にはもうすこし時間がかかる模様。

それにしても、やはり慢性実験用の手術はしんどい。特に麻酔がむづかしい。僕はイソフルレンを使っているのだが、少なすぎるとラットが起きてしまって暴れ出すし、多すぎると死んでしまう。ラットにとって痛い作業をするときは覚醒しやすくなるのが難しいところ。

しかも、手術が終わってからも、ちっとも安心できない。たとえば、電極の挿入口に出血があると、そこで血が固まって電極が折れてしまう。(シリコンプローブはかなり脆い。)前回はそれで失敗した。それで、今もびくびくしているところ。

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2006年04月06日

Publish

以前 Cerebral Cortex にアクセプトされた論文(前のラボでの仕事)が、ようやく本 publish された。アクセプトが去年の7月だから、パブリッシュまで10ヶ月近くかかってる。。

うれしいことに、いっしょに投稿した表紙用のイラストが採用されて、今月号の CC の表紙を飾ることに。パスコ・ラキックが選んでくれたらしい。(Web ページではえらい解像度が落とされているけど、ほんとはもうちょっときれい。)

ところで、ギューリーは、ブザキラボの論文が表紙になった雑誌はぜんぶ額に入れて飾ってある。JNP や Hippocampus ではよく採用されているので、教授室の壁面は額でいっぱい。表紙になるのがかなり好きみたい。。

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↓論文の Pdf ファイルを置いておきます。

Single Neurons Can Induce Phase Transitions of Cortical Recurrent Networks with Multiple Internal States.
Fujisawa S, Matsuki N, Ikegaya Y.
[PDF] [Suppl 1] [Suppl 2]

要約(以前書いたやつと同じ):
実験系は、海馬スライス培養切片でのパッチクランプ、Carbachol存在下。
(1) 単一細胞に10秒おきににカレントインジェクションを行ったところ、(Egorovのgraded persistent activityの実験と同じプロトコール)、細胞の発火パターンが(i)発火なし→(ii)単一スパイク→(iii)バースト発火→(iv)UP/DOWN→(v)persistent UP というように段階的に変化する現象が見られた。
(2) この現象はNetwork dependentであった。(Egorov のは Network dependent ではない。)
(3) この発火パターンの変化を「相転移(phase transition)」と見立てて、モデル化を行った。

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2006年03月22日

前ラボの仕事

前のラボにいたときの研究で、まだ論文にしてないデータがあったのだが、後輩に手伝ってもらってなんとか short paper にまとめることができた。今日、JP に投稿。ラボを移ってしまったために論文をまとめるまでにえらい時間がかかってしまったが、まあでも投稿までこぎつけたのですこし肩の荷がおりたかんじ。

投稿者 sfujisawa : 23:35 | コメント (0)

2006年03月21日

セミナ

Koch ラボのポスドクの Gold のトーク。この人はブザキラボとの共同研究もしてて、たまにうちのラボに顔を出してトークをしてくれる。

ニューロンが発火したときに生じる、extra-cellular での field potential の話。Holt&Koch 1999 では、再構築したモデルニューロンにケーブル理論やラプラス方程式などを使って、ニューロンが発火したときの、extra-cellular での空間位置と potential 形状の関係などをシミュレーションで調べていたが、Gold はその続きをやっている人みたい。(そういえばこのへんの話は pooneil さんの以前のエントリでもふれられてました。)

前回の話は、Henze の実験(Henze,・・,Buzsaki 2000 JNP、in vivo で同一の CA1 pyramidal cell から intra と extra を同時に記録した実験)のデータと、シミュレーションデータを比較して、ぴったり一致していることを確認した、という内容を話してくれた。この話は、すでに Online で publish されてるらしい。

今回は、neocortex の、再構築した細胞モデルを使って、細胞からどのくらいの距離まで extra-cellular で波形の記録が可能か、をシミュレーションで調べたという話。いろいろな細胞を調べていて、例えば layer V の pyramidal cell では ~ 50μm ぐらいまで検出可能だとか。

投稿者 sfujisawa : 19:29 | コメント (0)

2006年03月14日

セミナ

今日のラボミーティングは、NYU からいらした Castellanos 教授のトーク。ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder: 注意欠陥・多動性障害)の研究をしている人で、NRN にレビューとか書いてる人みたい。

ADHD の病因としては、Genetic なものと、Enivironmental なものが考えられているらしいですが、Genetic なものでは、dopamine transporter(DAT)や dopamine receptor D4(DRD4)などが原因遺伝子として考えられているどうです。一方、environmental なものでは、大脳基底核の損傷により ADHD になることがあるそうです。どちらにしても、dopamine 系が絡んでくるようです。

それで、今日の話は、ADHD と slow oscillation の関係についての話でした。ここでの slow oscillation は、~0.05 Hz といった、すごい slow な oscillation のことらしいです。

で、彼のこの論文の話。

(1) ADHD の患者に対して、Eriksen Flanker task という課題を行ったとき、その reaction time の時間経過を見てみると、ADHD 患者の場合では reaction time の variability が 0.05 Hz 程度の周波数で揺らいでいる(図2)。このとき、Methylphenidate というドパミン亢進系の薬物で、この variability が減少した。

(2) ラットの大脳基底核において、覚醒下で発火数を記録したところ、発火数は 0.05 Hz 程度の周波数でゆらいでいた(図1)。そして、その揺らぎはドパミン dependent であった。

それで、大脳基底核での発火数の 0.05 Hz 程度のゆらぎと、この reaction time の 0.05 Hz 程度のゆらぎと関係しているのではないか、というのが彼の予想です。つまり、大脳基底核での slow oscillation と、attention を絡めたいみたいです。

まあ、Singer の論文で、Response latency と LFP fluctuation の関係を論じてる論文もあるし、まあ、上の予想はあり得る話だとはおもう。今後、どうやって実際の ADHD 患者の大脳基底核での slow oscillation を評価していくか、という点でしょうね。

投稿者 sfujisawa : 21:13 | コメント (0)

2005年11月22日

本について

↓今回の SfN で仕入れた本。けっきょく今年は1冊しか買わなかった。。

Head Direction Cells and the Neural Mechanisms of Spatial Orientation
 Edited by:SI Wiener & JS Taube

2005年の新刊みたい。最終日でも大量に平積みされてたので、あまり売れなかったみたいですね。。
Head direction cell は、subiculum にある細胞で、頭の向いている方向に反応する細胞。subiculum は、解剖学的には海馬の出力系になるわけだけど、機能的には place cell と Head direction cell はどちらが高次になるのだろう?その辺が僕の中で曖昧なので、とりあえず買ってみました。(まだ読んでない。)


Fundamentals of Computational Neuroscience
 TP Trappenberg

最終日に買おうとおもってチェックだけしてたら、それまでに売り切れてしまってた。残念。。


The Cognitive Neurosciences III : Third Edition
 Edited by: MS Gazzaniga

MIT pressのブースを歩いてたら、たまたまpooneilさんと出会って、少し立ち話。そのときに、pooneilさんが推薦してくれた本。買おうかどうかさんざん迷って、今回は見送り。(あまりに本がでかかったので。。)そのうち Amazon で買おうか。

 * * *

ところで、MIT press にしても Oxford press にしても、最近の本は「edit 本」(十数人の著者がそれぞれ短い章を書いている本)が多い。僕としては、1~3人ぐらいの著者が最初から最後まで書いている本の方が好き。(内容も深くなるし、著者の思考過程がじっくり追えるし。)↓以下、比較的最近読んだ本でのオススメ:

From Conditioning to Conscious Recollection: Memory Systems of the Brain
 Howard Eichenbaum & NJ Cohen (Oxford press, 2001)

人間の海馬損傷患者から、Primate、ラットまでの、海馬が関わる記憶について、丁寧にまとめられた本。(Eichenbaum自身、昔はHM氏の研究をしてたみたいですね。)


Thalamocortical Assemblies: How Ion Channels, Single Neurons and Large-Scale Networks Organize Sleep Oscillations
 Destexhe & Sejnowski (Oxford press, 2001)

Thalamocortical oscillation のメカニズムについて、イオンチャネルレベルから、細胞のintrinsic propertyレベル、ネットワークレベルまで、さまざまなスケールのレベルにおいて考察した本。生理屋と理論屋の共著、っていうのがいいですね。とても明快でわかりやすい。

投稿者 sfujisawa : 20:45 | コメント (0)

2005年08月19日

ケーブル

Free movingの記録をするとき、当然ながらラットの頭からアンプまでは37線のケーブルでつないでいる。このケーブルがけっこうくせものである。コードがきちんと伸びているときはいいのだが、ケーブルにたるみができてしまうと、ラットがケーブルをつかんで遊び始めるのである。

いま記録に使っているラットは、ケーブルで遊ぶだけではもの足らず、ケーブルを囓ることを覚えてしまった。今日などは、10秒間だけ目を離している隙に、ケーブルをひとかみしてかみちぎって、一瞬でケーブルをダメにしてしまった。これでこのラットがダメにしたケーブルは3本目である。なんか噛む技術が次第に上達してきたような気がする。。それにしても、ケーブルを一本作成するのには6時間ぐらいかかるのに、ラットは一瞬でダメにしてくれるのでほんとに腹が立つ。かといって、ラットにアタるわけにもいかないしなぁ。。

投稿者 sfujisawa : 22:18 | コメント (0)

2005年08月11日

Cereb Cortex (AOP 8/10)

Single neurons can induce phase transitions of cortical recurrent networks with multiple internal states. (Suppl1,Suppl2)
Fujisawa S, Matsuki N, Ikegaya Y.

自分の宣伝で申し訳ありません。State論文がOnlineでPublishされました。本pulishは来年かな。簡単に内容を説明してみます;

実験系は、海馬スライス培養切片でのパッチクランプ、Carbachol存在下。
(1) 単一細胞に10秒おきににカレントインジェクションを行ったところ、(Egorovのgraded persistent activityの実験と同じプロトコール)、細胞の発火パターンが(i)発火なし→(ii)単一スパイク→(iii)バースト発火→(iv)UP/DOWN→(v)persistent UP というように段階的に変化する現象が見られた。
(2) この現象はNetwork dependentであった。(EgorovのはNetwork dependentではない。)
(3) この発火パターンの変化を「相転移(phase transition)」と見立てて、モデル化を行った。

投稿者 sfujisawa : 18:40 | コメント (0)

2005年08月10日

また失敗か

今週は毎日少しずつゆっくりとシリコンプローブを動かして目的部位に持っていく作業。Probe1は計算上ではそろそろ目的部位(CA1)に到着するはずなのだが、CA1に特徴的な脳波(たとえばrippleとか)が見えてこない。おかしいなぁ、と思いながらプローブを進めていると、徐々に波形がゆがんでおかしくなってきた。これはやばい、と思い、実体顕微鏡下で(ラットを無理矢理押さえつけて)シリコンプローブの状態を見てみると、シリコンプローブが変な角度にたわんで曲がっているのを発見。これではシリコンプローブに無理な負荷がかかるだけでなく、目的の位置に到達しない。。なぜ曲がっているのだ?手術時には完璧にまっすぐに挿したはずなのに。。可能性としては、マイクロドライブの軸が曲がっているか、あるいは剥いだはずの硬膜がまだ残っていてシリコンプローブの進入を妨げているのか。現時点では原因は分からず、しかも修正も不可能にちかい。

とりあえずは残った一本で実験を続けるしかないが、それにしてもこれはショックがでかい。手術は現時点での全力を投入して施しただけに、しかも2回連続の失敗だから、自信喪失も甚だしい。シリコンプローブは高価なだけに、失敗してもほいほいとは次の実験には移れない。途方に暮れてしまう。。

投稿者 sfujisawa : 20:38 | コメント (0)

2005年08月08日

リベンジ

昨日、ラットの慢性電極埋め込み手術をする。前回失敗した、シリコンプローブ2本差しのリベンジ。8時間の格闘の末、今回はなんとか最後まで完了する。しかし、きちんと電極が目的の部位にたどり着くかどうかは、もうしばらく様子を見てみないと分からない。今回はすこし複雑な挿し方をしているので、五分五分といったところ。

さて、話しは変わるが、今日ギューリーは「統合脳」のシンポジウムのために日本に旅立ってしまった。統合脳にでられる方はよろしくお伝えください。そういえば、最近ギューリーは日本語の「コンニチワ」とか「サヨウナラ」を覚えたらしく、たまにネタ的に使ってきます。もしシンポジウムで使ってきたら、ハンガリー語で「ヨーナポトキーヴァーノク!」と返してあげてください。(←いまネットで調べたのでてきとうです。)

投稿者 sfujisawa : 21:10 | コメント (0)

2005年08月01日

トラブルはつづく

最近はなんかトラブル続き。今日はなぜかデータ保存用のハードディスクがクラッシュしてしまった。まだバックアップとってなかったデータがおじゃんに。しかも実験中は1日で生データが10~20GB以上できてくるので、なんとか早いうちに保存場所を確保しないといけない。どうしよう。。少々気が滅入ってきた。。

投稿者 sfujisawa : 22:30 | コメント (0)

2005年07月27日

手術失敗

今日は2度目の慢性記録実験用の電極埋め込み手術。今回は32channel電極の2本挿しなので前回よりも少し難しい。電極も2本になると、三次元的な空間配置が難しくなる。いちおう事前に空間配置をしっかり計算しておいたので、まあなんとか電極の挿入とマイクロドライブの設置まではなんとかうまくいった。しかし、最後、コネクターの位置をすこし動かしているとき、無理な負荷がかかったのか、シリコンプローブとドライブの接続部がはずれてシリコンプローブが破壊してしまう。思いもかけなかったことで、一瞬声がでなかった。7時間の手術が水の泡に。しかも1ヶ月近くトレイニングしたラットも無駄に。

手術を失敗すると、ほんとに得られるものが何もない。しかも後処理と次の実験のための準備で膨大な時間がとられる。来月からギューリーが長期の出張に行ってしまうので、その前になんとか再手術をするために、とりあえず猛スピードで次の準備をしなければ。

投稿者 sfujisawa : 22:24 | コメント (0)

2005年07月12日

SfN、登録した?

SfN(北米神経科学会)の参加登録とホテル予約が今日から始まった。毎年、万単位(うそかも)の人が参加するわけで、ホテル予約は早くしないと一瞬で埋まってしまう。今年はWashintonDCだから街が狭いし。というわけで、今日はラボのみんなは、予約受付が開始する、12時の30分前にはパソコンの前にすわってOnline予約の準備。今年は、予約受付開始は30分前からスタートしてた(例年そうらしい)。速攻で予約したため、今年は会場に近いホテルに予約できたぞ。

投稿者 sfujisawa : 19:59 | コメント (0)

2005年07月11日

State論文

Cerebral Cortex から、僕の論文の"accept"の返事が来た。よっしゃ!! CCには5月12日に投稿して7月10日にacceptだから、2ヶ月でカタが着いてしまった。まあでも、全体を通してみると、この論文には苦労したなぁ。。はじめの投稿は1月だったから、結局通すまでに半年以上もかかっちゃったな。

せっかくなので、論文原稿を置いておきます↓
Single neurons can induce phase transitions of cortical recurrent networks with multiple internal states
Fujisawa S, Matsuki N and Ikegaya Y
論文原稿(pdf,1.42MB)、Supplmental(理論, pdf, 0.26MB)

以下、この論文のまとめ。
<投稿の流れ>
(○Accept、△好意的 Revise、▽否定的 Revise、×Reject(括弧は推定Reviewer))
1. Neuron 1月投稿→2月Reject
×(McCormick)、△ (Sejnowski?)、▽(Steriade?)
2. JNS 3月投稿→4月Reject、
△(Pare)、×(?実験屋)
Appealするが、Editor Reject (CJ Wilson)
3. PLoS 4月投稿→5月 Editor Reject
4. CC 5月投稿→6月 Revise請求→7月 acceptable
○(Amit)、▽(?実験屋)

こう見てみると、理論屋にはまあまあ受けが良くて、実験屋にはひどく受けが悪い論文だということが分かりますな。。まあでも、たくさんのこの分野の一流の人たち(推定が正しければ)にReviewしてもらったことになるので、その点では勉強にもなったし、宣伝にもなったような気がします。

<Reviewerのコメント抜粋>
「これはMcCormickのまねじゃん」by McCormick
「Pare JNP1997を引用してないのはひどくない?」by Pare
「This is a very significant, beautifully presented and well written article. It is a special pleasure to read about the detailed and rich experimental observations and even more due to the fact that they are accompanied by a serious effort to find a corresponding theoretical conceptual framework.(←絶賛)」by Amit

<自己評価>
今読み直してみると、まだまだ未熟な論文だなあ、と思う。それでも、僕にとっては、今後の自分の研究の流れを組み立てていくにおいてとても重要な研究だったと思う。

この論文で最も重要な焦点は、生理的なニューラルネットワークにおける同期活動の形成は、どのように理論的に記述することができるか、という問題提起を行ったこと。具体的には、Hopfieldモデルのような人工ニューラルネット(Artificial Neural Network)における同期形成理論(固体物理学の応用理論)を応用することで、生理的なニューラルネットワークにおける同期活動の形成をうまく記述できるか、を考えたもの。(だから、もともとそういう問題意識がある Amit とかは、この論文のおもしろさを理解して、評価してくれている。)

ただ、今回のこの論文でじっくりと考えた結果、Hipfield理論は、そのままの形式で Biological Neural Network に応用してはいけない、ということが分かってきた。(今回の論文ではそのままの形式で応用してしまったが。)これは今後考えていかなければいけない問題だな。

投稿者 sfujisawa : 19:52 | コメント (0)

2005年07月08日

CC

Cerebral Cortexから、reviseの返事が来て、再Reviseを要求された。でも、今度は簡単な図の直しだけで、Reviewer#2も今回は好印象だったので、今度はなんとかなりそうな雰囲気。さっそく図を直して、がや先生に再投稿してもらう。

投稿者 sfujisawa : 21:38 | コメント (0)

2005年07月07日

ラット

今のラットで、もう2~3週間、慢性実験を行っているが、だいぶユニットが見えなくなってきた。そろそろ潮時かな。一番はじめに手術したラットだから、愛着があるのだが、仕方がない。。せっかくなので、ラットの記念撮影。


プレアンプ接続時(左)と休憩中(右)

投稿者 sfujisawa : 21:46 | コメント (0)

2005年06月30日

DG

CA1で観察されるユニットが安定しなくなってきたので、CA1観察はとりあえず終了。でもせっかくなので、練習として、そのままプローブを下に下ろしていって、DG or CA3の観察を行うことにする。(Dosalに刺しているので、CA1の直下にDG/CA3がある。)プローブを下ろすときにはギューリーも一緒にいて、見ててくれた。プローブがどの位置にあるかは、脳波を見れば分かる、とギューリーが解説してくれる。CA1からプローブを下ろしていくと、まず脳波が大きくなる。さらに下ろしていって、もしガンマ波が大きくなればDGで、ガンマ波が小さければCA3らしい。ギューリーは脳波の波形を見ただけで「いまプローブはlacunosにいるね」とか、「いまプローブの先端がgranule cell layerに到着したね」とか分かったりする。いや、ギューリーと一緒にやると勉強になっていいです。

投稿者 sfujisawa : 21:47 | コメント (0)

2005年06月23日

安定しない

今日はユニットの記録がうまくいかない。長期間電極を埋め込んでいると、どうしても電極の周辺の細胞が傷んでしまうため、長期間安定してユニットをとることはけっこう難しいらしい。だから、電極が海馬の錐体細胞層に到達してから数日間がもっとも安定して記録がとれる時期(いわゆる勝負所)らしい。(O'Keefe の Nature 2002 は20個近くのユニットを一ヶ月も安定して記録しているが、これは神業か?)今日は記録をとらずに調整することにした。

投稿者 sfujisawa : 18:17 | コメント (0)

2005年06月20日

Theta、とれたよ

記録がとれるようになったので、週末もずっと実験。とりあえず、sleep中の海馬の波形はとれるようになる。波形を見ていると、Slow wave sleepとREM睡眠の違いがよく分かる。SWS中は、ripple波がばんばんでまくっていて、REMではきれいなtheta波が観察される。それにしても、REM睡眠って思ったより短い。SWS10分に対してREM1分ぐらいしかとれない。しかもSWS中にラットが起きてしまうことがけっこう多くて、睡眠中のtheta波記録はけっこう難しいかも。

↓theta波。ユニットも見えてる。

投稿者 sfujisawa : 19:35 | コメント (0)

2005年06月16日

記録

今日もラットにアンプを接続して波形を記録してみる。電極もすこし動かしてみる。ギューリーがいたので、波形を見てもらう。「お、rippleが見えてるじゃん。」rippleは、ラットが何もしていないときに観察される、120~200Hzの高周波のwaveのこと。「このripple波形を見る感じでは、一番先の電極は、錐体細胞層の上端のギリギリの位置にいるね。Orienceにいるときはripple波形が上向きで、錐体細胞層を突き抜けてRadiatumまで言ってしまうと波形が下向きになるから、rippleの波形を見ると電極がどの位置にいるか分かるんだ。もうすぐ電極が錐体細胞層にぴったりはまるから、ラットをtrainingしたら記録をとってみようか。」

「これは君の初めてのラットだけど、なんとか記録とれそうだね。Congraturaion!じゃ、次は32channel電極2つでやってみなさい。電極を渡しとくから、準備を始めといて。」と、新たな電極を渡してくれた。ギューリー、けっこう気が早い。。

投稿者 sfujisawa : 19:36 | コメント (0)

2005年06月15日

グラウンド

昨日は見えていた波形が、今日になると見えなくなっていた。これは困った、ということで、けんじさんに手伝ってもらって、修復作業を行う。数時間いろいろやっているうちに、何とか昨日の状態までは回復する。原因はあまりよく分からないけど、おそらくグラウンド関係だろうと思われる。電気生理やってると、グラウンドやノイズは、常に難しい。。

投稿者 sfujisawa : 19:28 | コメント (0)

2005年06月14日

接続

昨日埋め込んだ電極がちゃんと働くかどうか、今日実際にアンプを接続してみて確認。

最終的にはdosalの海馬CA1から記録をとりたいのだが、手術の時にいきなり電極をCA1までつっこんでしまうと、周辺の細胞が死んでしまうらしいので、手術の時は海馬の上の皮質のところまで差し込んでおいて、数日間かけてゆっくりと電極を海馬まで下ろしていく、ということをやる。なので、今日は、皮質からの記録がとれるはず。

コネクターをつないでみたところ、コンピュータ画面に脳波らしき波形が映し出される。しかも、小さいながらもユニットらしき波形も少し観察された。おぉーっ、感動!

しかし、まだin vivoでの波形の見方があまりよく分からない。はやいところ慣れてしまわなければ。

投稿者 sfujisawa : 19:24 | コメント (0)

2005年06月13日

オペ

今日は本番オペ。32channelシリコンプローブを、ハンドリングしたラットに埋め込む。ラットの麻酔からオペ終了まで7時間もかかった。でもラットはまあまあ元気だったので一安心。問題は、うまく記録がとれるか、ですな。

投稿者 sfujisawa : 18:39 | コメント (0)

2005年06月10日

オペの練習

僕はin vivoでの脳の手術をやったことがないので、本手術をする前に練習をしといたほうが良いと思い、今日オペの練習をやってみる。余ったラットをもらってきて、シリコンプローブを埋込む以外の過程をひととおり自分でやってみることにする。はじめのイアーバーでの固定のところでもたついていると、手術室の前を偶然通りがかったギューリーがのぞき込んできた。「お、俺が手伝ってやるぞ。」と言って、ひゅひゅっ、とラットをイアーバーで固定してしまう。「イアーバーでの固定の練習は、ケタミンとかで深く麻酔したラットとかを使って何回も練習しなさいよ。」そして、手術のコツなどを何点か教えてくれ、去っていった。ギューリーは実験をのぞくのが大好きみたいで、ひまなときはいつもみんなの実験をのぞいてまわっている。

しばらくひとりで手術を続けていると、またギューリーが早足でやってくる。手にはなんか小型の装置を持っている。「これ、レーザー温度計なんだ。こうやって、ラットにレーザーを当てるだけで、体温が分かっちゃうんだ。Fantasticだろう?」しかし、僕はラットの体温をそんなに知りたくなかったし、温度表示が華氏表示で何度なのかさっぱり分からなかったので、リアクションがとれないでいると、そのままその装置をもって去ってしまった。何だったのだ?うまくリアクションすれば貸してくれたのかな?それとも単なる装置の自慢?

まあ、そんなかんじで朝から夕方まで練習をやっておりました。

投稿者 sfujisawa : 20:03 | コメント (0)

CC

Cerebral Cortexに投稿していた「State論文」の返事が来る。「要ReviseのAcceptable」だった。ほっと一息。でもReviewer#2は結構きついこと言っているから油断はできない。Reviwer#1が、絶賛してくれていて、「It should surely be published」とまで言ってくれていた。Reviewerにこんなに褒められたことはなかったので、さすがにうれしかったです。Reviwer#1は、理論家であることは間違いなく、たぶんHopfield系で、おそらくAmitとみた。

投稿者 sfujisawa : 20:03 | コメント (0)

2005年06月06日

オペの見学

今日はけんじさんに慢性記録用の手術を見せてもらう。

まず、麻酔をかけてから、イヤーバーでラットの頭部を固定し、バリカン(!)で毛を刈り、メスで頭皮をきり、ブレグマとラムダを確認する。ここまでは薬作のプロトコールとほぼ同じ。そのあと、ブレグマとラムダを大きく囲むように、skullにアンカー用のねじを小さいねじを8本ほど打ち込んみ、それを歯科用セメントで固めて足場を作る。グラウンド電極・参照電極用のねじも小脳部のskullに打ち込んでおく。セメントが乾いたら、電極を挿すべき場所のskullに穴を開け、用意しておいた電極を挿す。穴は、電極を傷めないように、ゼリーで固める。そして、電極を支持しているマイクロドライブを、セメントでskullに固定する。すべての電極を挿し終わったら、5cmぐらいの金属製の網で全体を囲って(ノイズ対策のファラデーカップ)、その網をはじめに作った足場に、セメントで固定する。そして、電極につないでいるコネクタ類を、金網にうまく固定する。

以上が手術の流れ。けっこう大仕事で、慣れているけんじさんでも10時間ほどかかっていた。

投稿者 sfujisawa : 19:50 | コメント (0)

2005年06月03日

シリコンプローブ

そろそろ実験をしてみたい、とギューリーに言うと、シリコンプローブを渡してくれました。おぉーっ、ついに憧れのシリコンプローブを手にすることに。「まずこれでやってみなさい」と渡されたのは、ひとつの32channelのプローブだった。ここで調子に乗って、2 X 32channelでやってみたいのでもう一個欲しい、とだだをこねると、それはさすがに「ノー」。「まぁ、そんなにあせらないで。2つのプローブを使うと手術時の場所の干渉の問題やコードのねじれの問題とかあって、けっこう難しいのよ。これは君にとっての初めてのin vivo実験なんだから、まず一つのプローブで手術・記録・解析をやってみて、一通りの流れを学んでから、それからstep upを考えなさい。」とやさしく諭されました。。

まあとにかくシリコンプローブを手に入れたので、とりあえずけんじさんにやり方を教えてもらって、コネクターとの配線を行う。プローブを壊さぬようにハンダ付け。ほんと緊張しますよ、この作業は。結局、配線だけで6時間もかかってしまった。いやはや。。

せっかくなので、プローブの記念撮影をしてみました。


投稿者 sfujisawa : 18:40 | コメント (0)

2005年05月16日

5月16日

今日は朝から研究室へ。ギューリー(=ブザキ先生のニックネーム)と30分ほどDiscussion。さすがに、まだDiscussionでは押されっぱなし。。(そもそも何を言っているのかを理解するのだけで精一杯。。)でも、なんとなく彼が私にやらせたがっていることが分かってきた気がする。

投稿者 sfujisawa : 18:30 | コメント (0)

2005年05月02日

State論文の改訂が終わったので、PLoS誌にOnline投稿。前回の版に対して、モデル部分を根底から改訂したために投稿までに時間がかかってしまった。

投稿者 sfujisawa : 21:26 | コメント (0)