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2005年07月11日

State論文

Cerebral Cortex から、僕の論文の"accept"の返事が来た。よっしゃ!! CCには5月12日に投稿して7月10日にacceptだから、2ヶ月でカタが着いてしまった。まあでも、全体を通してみると、この論文には苦労したなぁ。。はじめの投稿は1月だったから、結局通すまでに半年以上もかかっちゃったな。

せっかくなので、論文原稿を置いておきます↓
Single neurons can induce phase transitions of cortical recurrent networks with multiple internal states
Fujisawa S, Matsuki N and Ikegaya Y
論文原稿(pdf,1.42MB)、Supplmental(理論, pdf, 0.26MB)

以下、この論文のまとめ。
<投稿の流れ>
(○Accept、△好意的 Revise、▽否定的 Revise、×Reject(括弧は推定Reviewer))
1. Neuron 1月投稿→2月Reject
×(McCormick)、△ (Sejnowski?)、▽(Steriade?)
2. JNS 3月投稿→4月Reject、
△(Pare)、×(?実験屋)
Appealするが、Editor Reject (CJ Wilson)
3. PLoS 4月投稿→5月 Editor Reject
4. CC 5月投稿→6月 Revise請求→7月 acceptable
○(Amit)、▽(?実験屋)

こう見てみると、理論屋にはまあまあ受けが良くて、実験屋にはひどく受けが悪い論文だということが分かりますな。。まあでも、たくさんのこの分野の一流の人たち(推定が正しければ)にReviewしてもらったことになるので、その点では勉強にもなったし、宣伝にもなったような気がします。

<Reviewerのコメント抜粋>
「これはMcCormickのまねじゃん」by McCormick
「Pare JNP1997を引用してないのはひどくない?」by Pare
「This is a very significant, beautifully presented and well written article. It is a special pleasure to read about the detailed and rich experimental observations and even more due to the fact that they are accompanied by a serious effort to find a corresponding theoretical conceptual framework.(←絶賛)」by Amit

<自己評価>
今読み直してみると、まだまだ未熟な論文だなあ、と思う。それでも、僕にとっては、今後の自分の研究の流れを組み立てていくにおいてとても重要な研究だったと思う。

この論文で最も重要な焦点は、生理的なニューラルネットワークにおける同期活動の形成は、どのように理論的に記述することができるか、という問題提起を行ったこと。具体的には、Hopfieldモデルのような人工ニューラルネット(Artificial Neural Network)における同期形成理論(固体物理学の応用理論)を応用することで、生理的なニューラルネットワークにおける同期活動の形成をうまく記述できるか、を考えたもの。(だから、もともとそういう問題意識がある Amit とかは、この論文のおもしろさを理解して、評価してくれている。)

ただ、今回のこの論文でじっくりと考えた結果、Hipfield理論は、そのままの形式で Biological Neural Network に応用してはいけない、ということが分かってきた。(今回の論文ではそのままの形式で応用してしまったが。)これは今後考えていかなければいけない問題だな。

投稿者 sfujisawa : 2005年07月11日 19:52

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