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2005年06月17日

Phys Rev Lett 6/17

Role of Delays in Shaping Spatiotemporal Dynamics of Neuronal Activity in Large Networks
Alex Roxin, Nicolas Brunel, and David Hansel

Alex Roxinはこの論文(PRL2004、Small-world neural networkでの同期形成のモデルの論文)の著者。Brunelは Amit や Wang XJ や Abbott とかとよく一緒に論文出している人ですね。

この論文は、networkにおいて、neuronどうしのinteractionのdelayを考慮すると、synchronizationのパターンに「phase」が存在するようになる、という内容。連続空間での firing rate modelと、Hodgikin-Huxley modelの、両方で計算している。

Communication Boundaries in Networks
A Trusina, M Rosvall, K Sneppen

「1960年代、スタンレー・ミルグラムという名のアメリカの心理学者は、人々をコミュニティに結びつけている複雑な人間関係の構図を捉えようとしていた。そのためにミルグラムは、カンザス州とネブラスカ州の住民から何人かをランダムに選び出して 160通の手紙を送りつけ、その手紙をボストンにいる彼の友人の株仲買人に転送してほしいと依頼した。ただし、友人の住所は知らせなかった。手紙を転送するにあたっては、それぞれの人の個人的な知り合いで、その株仲買人と社会的に「近い」と思われる人にだけ送るように頼んだ。最終的には、手紙の大半がボストンの友人のもとに届いたのである。手紙の多くは、6回前後の投函で着いたのである。ミルグラムの発見は、「6次の隔たり」(six degrees of separation) として人々に知られるようになった。どんな有名俳優とでも、6人の関係する人を通せば、結びついてしまうということになる。」(ここから引用)

この話はSmall-worldの例として有名な話よね。人間同士のネットワークは最短6人程度でつながっている、というのは良いとして、問題は、なぜ、手紙を送った人たちは、その最短に近い経路をたどることができたのか。

この論文ではそこに焦点を当てている。Real-world networkでのpath findingについて。

出発点 s から目的地 t に最短で到着できる確率 S(s→t)は、普通に式(1)で計算できる。これに加えて、自分の友達のうち、誰が多くのコネクションを持っているか、という情報を「betweenness」として重み付けに用いたときの確率 Sw(s→t)(式(2))を計算しているのがおもしろい。s→tまでの距離 l が小さいときと大きいときで、S(s→t)とSw(s→t)を計算している。その結果、real-world networkでは、距離 l が小さいときはS(s→t)が高く、距離 l が大きいときはSw(s→t)が高い、という結果が得られた。つまり、real-world networkで目的地までの最短のpathを探すには、pathのはじめの方ではbetweennessを重視して検索していき、目的地に近づいてきたら場当たり的に検索するのが良い、という結論。まあ、結論は当たり前っぽいけど、考え方と計算法がけっこうおもしろい論文でした。

投稿者 sfujisawa : 2005年06月17日 20:14

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