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2005年07月28日

Nature 7/28

Robust habit learning in the absence of awareness and independent of the medial temporal lobe
Peter J. Bayley, Jennifer C. Frascino and Larry R. Squire

Squireのグループ。例によって側頭葉損傷患者の実験。ヒトにおいて、object recognition taskが、declarative的にだけでなく、Habit的にも記憶されうる(ただし側頭葉非依存)ことを示した論文。(サルでは知られてたらしい。)

Task:Objectは、変な形のプラスチックや金属の破片など。それぞれが紙のカードの上にひっつけられている。Objectカードは16枚あって、2枚ずつ8組のpairになっている。それぞれのpairで、"correct" objectが一枚決められていて、そのobjectカードの裏側に"correct"の文字が書かれている。

被験者は、1pairずつ提示されて、「この2枚のうち、"correct"objectを、try-and-error(つまり自由にobjectカードをつまんでひっくり返して"correct"の文字があるかどうか確かめられる)で覚えてください」と指示される。1セッションは40trial、週に2回のセッションを行う。(The concurrent discrimination task)

Controlでは、だいたい3回のセッションで、90%以上の正解率。
ここで側頭葉損傷患者(EPさんとGPさん)では30回程度のセッションで85~90%程度の正解率でこのobject recognition taskが学習された。しかし、彼らはこのtrialをしたこと自体は覚えていないし、このtaskがどういうものなのかの説明もできない。(つまり「declarative memory」ではない。)

次に、記憶が形成された後に、16枚のカードを同時に並べて、「この中から"correct"objectを選んでください」と指示される課題(The sortig task)。Controlはできるが、側頭葉損傷患者は全くできない。しかし、この直後に、1pairずつ提示されるtask(今度はつまむのではなく言葉で(右か左か)答えなくてはならない)は、答えられる。

さて、Taskを行ったこと自体は覚えていないけど、Habit memoryは獲得される(たとえば鏡を見ながら鉛筆で図形をトレースするtaskとか)ことは、海馬損傷患者の研究(たとえばHMさんとか)で相当前から知られている。

今回新しいのは、Object recognition taskのような「declarative memory」と考えられていたものも、Habit learningで獲得できることを示したことかな?あるいは、Object recognition のようなtaskにおいて、海馬・側頭葉経路で意識下にdeclarative的にすばやく記憶される経路と、basal ganglia経路(?)で無意識下にHabit的にゆっくり記憶される経路の2種類が存在することを示したことかな。

投稿者 sfujisawa : 2005年07月28日 21:01

コメント

こんにちは。ガヤから教えてもらって見に来ました。内容充実してますね。私のところは記憶関連は以前に集中的に書いてからはさっぱりです。Cerebral Cortex acceptおめでとうございます。また来ます。では。

投稿者 pooneil [TypeKey Profile Page] : 2005年07月29日 07:04

Pooneilさん、こんにちは。コメントありがとうございます。いつもページを読ませていただいてます。特に、記憶関係は、いぜんpooneilさんのページで盛り上がってたときに勉強させてもらいました。心理学系はシロウトなので、間違ったとこがあったらどんどんつっこんでください。これからもよろしくお願いします。

投稿者 しげ : 2005年07月29日 22:50

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