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2005年12月11日

チェルシー

週末は、またぶらぶらとマンハッタンへ絵を見に行く。今回は、チェルシーでギャラリー巡り。チェルシーとは、Penn station の南あたりの地区のこと。チェルシーの 22nd~24th Street のあたりはギャラリーが集中しており、通りの両側がすべてギャラリー。しかも、見るだけなら基本的に無料。日本のギャラリーはひやかしでは入りにくいのだが、マンハッタンのギャラリーは観光客でけっこうにぎわっており、とても中に入りやすい感じ。扱っているのはだいたい現代作家の作品が多く、玉石混交といった感じで面白い。

いちばん良かったのは、Matthew Marks GalleryRoni Horn 展かな。これは他のギャラリーと比べて少しレベルが高かった。Roni Horn は、僕は初めて見た名前だったが、もうすでにけっこう名の通った現代作家らしい。ある、空間的・時間的に連続的な広がりをもつ「何か」を、あえて分割・静止・再構成して提示することにより、その「何か」の連続性や広がりをかえって強く感じさせる、そういう内容の作品。

あと、Gagosian Gallery の全く意味の分からないビデオ展示も面白かった。とにかく派手でやかましくて、あんまり深くない。でも面白かった。

あと、Luhring Augustine Gallery の チェス展もおもしろかったかな。

kusama.jpg
▲ 草間弥生の「チェス・セット」(2003)

ついでに、メトロポリタン美術館にも行って、アンジェリコ展ゴッホ素描展を見てくる。

フラ・アンジェリコは15世紀、初期ルネッサンスの画家。ルネッサンスはまとめて見る機会がなかなかないので、こういう企画展示は勉強になる。初期から成熟期までの作品が多かったので、空間構成や表情、ダイナミクスさが、時代を追うごとにどんどん良くなっていき、画家の成長が見て取れて面白かった。でも、「受胎告知」などの代表作は来ていなかったので残念。

ゴッホ素描展は、素描だけなのでそれほど期待してなかったが、初期作品からアルル時代、サン・レミ時代、オーヴェール時代のそれぞれの作品をしっかり集めていて、思ってたのよりかなり良い展示だった。例えば、初期作品では、鉛筆で、一本の草、一個のレンガまでも、細かく細かく徹底的に書き込んで、濃密なデッサンを行っている。一方、アルル時代では、茶色ペンを使って、線のストロークをやや長めにして、初期時代より線を省略して、しかし、濃密さは損なっていないデッサンを行っている。(おそらく、油彩に仕上げることを意識したデッサン。)いずれにしても、デッサンの段階で本気で試行錯誤して取り組んでいるのが分かる絵で、ゾクッとさせられる展示でありました。

投稿者 sfujisawa : 2005年12月11日 23:56

コメント

アンジェリコ展はなかなか良い絵が揃っているようでホント羨ましいです。プラドの受胎告知も見事ですが、彼の場合はフレスコ壁画にすばらしい作品が多いので、さすがに展覧会のために移動させるのは無理ですよね。ジョットとかの壁画も含めて、いつか現地に行って見たいなあと思っています。今後も美術館情探索しげ日記、楽しみにしています。

投稿者 がや : 2005年12月12日 18:28

美術ネタは、いくぶんマニアックかなー、と思いつつ書いているのですが、楽しんでいただいているみたいで、うれしいです。。

> さすがに展覧会のために移動させるのは無理

そうなんですよね。ルネッサンスは壁画に名画が多いから、どうしても現地に行かないとまとまって見れないですよね。なので、ルネサンス以前は、僕の中では未だに無知に等しいです。。そういえば、今、「がや日記イタリア紀行」を読み返してみたのですが、先生、スクロベーニ礼拝堂に行ってないじゃないですか!ジオットファンなら、何をさしおいても行かなきゃダメですョ!

投稿者 しげ : 2005年12月12日 22:52

論文のRewriteでアップアップしておりますが、おもわず再レス。
今イタリアでどこに行きたい?っと訊かれたら、パドヴァとアッシジですよね、やっぱり。 フランチェスコ伝が好きなのでとくにアッシジにはぜひ行かないと。。。でも、場所的に微妙に行きにくくないっすか? 都合のよい学会が現地の近くで開催されないですかねえ。

投稿者 がや : 2005年12月13日 22:50

今地図で調べてみたのですが、たしかに、場所が微妙ですね。パドヴァはヴェネチアに近いからまだいいけど、アッシジはわざわざ行かないといけないとこにありますね。美術名所がけっこう散らばってますね、イタリアって。

でも、さすがにイタリアで学会があったら、学会に全く集中できなさそうですね。。まわりに遊び場所がほとんどないアメリカの地方都市、っていうのが学会的にはちょうどいいのかも。

投稿者 しげ : 2005年12月14日 00:28

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