2006年03月16日
Neuron 3/2
Tracking Route Progression in the Posterior Parietal Cortex
Douglas A. Nitz
Nitz という人は今まで知らなかった。McNaughton との論文が多いので、McNaughton の弟子かな?
ラット、Parietal Cortex と Hippocampus でのユニット記録。海馬の細胞は、空間における自分に位置に sensitive だが、parietal の細胞は、ある道筋における自分の位置に sensitive である、という内容。
Task は、碁盤目状の課題箱での迷路課題(Fig1)。ところどころ通行止めがあって、通れる pathway は決まっている。ここで、たとえば pathway が、
スタート → 直進 → 右折 → 直進 → 左折 → 直進 → ゴール
というような場合、その各「直進」や「右折」などを segment と呼ぶことにする。
それで、Hippocampus のニューロンは、普通に place field が存在する。一方、Parietal cortex のニューロンでは、place field は存在するが、以下のような特徴をもつ;
・ Pathway dependent である
・ Segment に sensitive である
・ place field の伸縮が可能である
たとえば Fig4A では、はじめの segment に sensitive な parietal neuron の place field が載っているが、「行き」でも「帰り」でも、はじめの segment で発火している。また、pathway が変更されて、はじめの segment がすごく長くなった場合は、それにあわせて place field も大きくなっているのが見てとれる。
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そうだ、京都にたとえると分かりやすいかも。たとえば、以下の経路を歩くとする;
烏丸七条(京都駅)→ 烏丸五条 → 河原町五条 → 河原町三条
つまり、Segment でいうと、
烏丸通り → 五条通り → 河原町通り
つまり、はじめの Segment に sensitive に反応するニューロンは、「行き」だと烏丸通り、「帰り」だと河原町通りで強く発火する。しかも、伸縮性があるので、もし「行き」のとき五条通りが通行止めで四条通りまで歩かなければいけなくなったとしても、ずっと烏丸通りで発火することになる。
(逆に分かりにくいか?)
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では、この Parietal と Hippocampus の大きな違いは何か。
まず、Parietal の place field は pathway dependent なので、つまり context dependent だということができる。しかし、context dependent 性だけなら、Hippocampus の place cell にもある。たとえば、Ferbinteanu & Shapiro 2003 では、右に曲がるか左に曲がるかの context の違いにより、place field での発火率が異なる。いってみれば、これも Context dependent である。
しかし、Hippocampus の place cell は、Context dependent ではあっても、あくまで、場所(絶対位置)に sensitive である。一方、parietal では、場所(絶対位置)には independent である(「行き」と「帰り」とでは発火する絶対位置は異なる)。しかも、Parietal では、Segement の大きさにあわせて place field が伸縮する、という実験結果がある。つまり、Parietal の neuron は、ある道筋(どういう手順で目標地点にたどり着くか)における自分の位置に sensitive である、ということである。
投稿者 sfujisawa : 2006年03月16日 21:22
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